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クリエイティブ分科会 活動報告詳細
2016年5月30日 第8回クリエイティブ分科会(無料セミナー)開催
場所:日本経済広告社 大会議室
テーマ 「クリエイターのセルフプロデュース術」
内容 セミナー

これはCBLAの【クリエイティブ分科会】として、2016年5月30日、ファンワークス 代表取締役の高山晃氏を迎え「クリエイターのセルフプロデュース術」と題しセミナーを開催した。

高山晃氏は広告代理店、ドラマ制作会社、アニメプロダクションを経て2005年ファンワークスを設立。キャラクター、アニメ、インターネット、パブリシティなどを融合した新しいスタイルで、テレビアニメ、劇場用映画、コマーシャル、地方発のクールジャパン系アニメなど、様々なタイプのアニメーションの制作やプロデュースに関わっている。
さまざまな種類のクリエイターと仕事をする高山氏には、今回はビジネス的な視点からエージェントと組んでいないクリエイターがいかに自分を売り込んでいけばいいのかという視点で詳しく解説してもらった。

高山 晃
広告代理店、映像制作、アニメプロダクションなどを経て2005年にファンワークスを設立。「やわらか戦車」のヒットを皮切りに数々の作品の制作やプロデュースに関わる。直近では「がんばれ!ルルロロ」、「英国一家日本を食べる」などNHKでのTVアニメやサンリオのキャラクターをアニメ化した「アグレッシブ烈子」(TBS「王様のブランチ」)など話題性に事欠かない。

(常にニコニコと柔らかな印象の高山氏。会社名「ファンワークス」はFootwork・Artwork・Networkを駆使して新たな風(FAN)を起こしていく、という意味だ)

―世界を変えた!様々なソーシャルメディアの出現―

「ファンワークスはもともと2005年にクリエイターのセルフプロデュース支援を目的に設立した会社です。会社を始めた当時はSNSといえばmixiしかなかった時代で、そこからあっという間にFacebookやtwitterが台頭。これはクリエイターにとって自分で発信できるツールを手に入れる画期的な出来事で、セルフプロデュースをする環境としてはとてもポジティブな状況といえるでしょう。
現在、メディアには大きく3種類あります。
まず、テレビやラジオなどの「Paid media」(お金を出して買うメディア)、 メルマガや会員組織などの「Owned media」(組織単位で所有するメディア)、 そしてSNSやblogなどの「Earned media」(信頼、評価を得るメディア)です。 これらは単体で打ち出していくものではなく、企業でいえば「Paid media」で獲得した認知力をいかに「Earned media」へとバトンタッチしていけるかが 展開する上での鍵となりますね」
今この「Earned media」はクリエイターとの関係を高度化、複雑化しています。
「やわらか戦車」はクリエイターの立ち位置から考えれば「Earned media」から「Paid media」へという流れでヒットしたコンテンツです。なぜこれがヒットしたかというと、当時「WEBから人気が出てTVヘ」というその手法自体がすごく新しかったから。つまり「出会い頭で大ホームラン」だったんですね。もうお分かりかと思いますが、今それと同じこと(「いいものを作ってるだけ」)をしてもではこうはいかないというわけです。これからのクリエイターに求められるのは「どうやって突出するか」「いかにニュースをつくるか」ということ。
どうすればニュースになるか、ユーザにぶつけてネットで拡散、メディアにとりあげられるかという流れをいかに創出できるかが大切になってきます」

―「個人」は「個人のチーム」へ―

「セルフプロデュースがテーマなのに何で「チーム」なんだよ、と思うかもしれません(笑)。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、「どうやって突出するか」「いかにニュースをつくるか」の答えとして僕はいま「仲間を作る」ということがとても大事な時代になってきていると感じています。昔はアニメも工場みたいなとこで作っていて、そこから優秀な人間は個人となり活躍していくわけですが、個人じゃなきゃできないこともある反面、個人だとできることにも限界が出てくるわけです。だからこそ、ソロでも戦える人がそれぞれの能力をフルに活用するチームになったら何でもできると思いませんか?それが今の世の中でのポジションチェンジという価値観です。職人的な力を磨いていくのはクリエイターとして当然なこととして、そこにこれまで誰も見たことないような企画作るために、自分と「チーム」とで化学反応を起こせばもっと面白いこと(=ニュース)になるんじゃないか、ということ。コンテンツをチームでつくるという考えかたですね。もし自分がそんな仲間を作るのであれば、自分ができないことができる優秀な人間を仲間にしたいと思います。当然です(笑)。つまり、「いかに仲間になりたいと思ってもらえる様な魅力を発信できるか」、それこそがセルフプロデュースだと考えてもらうといいと思います」

なるほど、高山氏のいうセルフプロデュースとは「絵を描くか+どう売り込むか+どう仲間を作るか」ここまでが一体となってはじめて完成するものということだ。話の中でも人脈作りがいかに重要かということが都度都度熱く語られる。「職人」という意味での「クリエイター」ではない高山氏だからこそ、実感しているものの一つだろう。

「がんばれ!ルルロロ」
大ベストセラー絵本「くまのがっこう」シリーズから生まれたテレビシリーズ・アニメ。2013年よりNHK Eテレにてオンエア。子供とその母親たちに絶大な人気を誇り、facebookは14,000人、twitterは7000人以上のフォロワーを持つ。(2016年6月現在)キャラクターグッズは大ヒット。200以上リリースされてるアプリはキャラクター発としては世界最大規模を誇る。3Dアニメーションと手描き水彩の背景美術のクリエイティブの融合。アート系アニメーションを志向するクリエイターが多数参加するなど、クリエイターの特性を生かした上でプロダクトに落とし込んだプロジェクトでもある。

―大切なのは「職人」でありながら「広報のプロ」でもあるということ―

「じゃあ、そんなセルフプロデュース力を高めるのに必要なのは何かというと、先ほどの職人力、企画力に加え、広報力、情報収集力などを常に研ぎ澄ますことです。特に、今回、お声がけいただいているCBLA(キャラクターブランドライセンス協会)の主催する交流会やセミナーはキャラクター業界の第一線の人や普段会えない偉い人などと一度に会えたり、 知識、情報、ネットワークなどを広げるすばらしいチャンスだと思います。 流通の偉いヒトが来る、有名キャラクターをプロデュースしたヒトが来る、世界的なソーシャルメディアのマネージャーが来る、などなど、そしてそういう人たちが持っている情報とつながることを意識してほしい。表に出ない情報は足で稼ぐ、は昔からの鉄則です。

最後にクリエイターが最も苦手とするPRの仕方ですが(一同苦笑)。広報のプロはもちろんいないと思いますが、今求められているのはまさに広報力なんですね。たとえば、twitterで50万人のフォロワーをもっている人との人脈などはそれだけでもうメディアを持っているようなものです。(もちろんその50万人が自分自身のフォロワーならもっといいですが)そのほかにもyahoo!トピックに上がっている記事の出元はどこなのかを調べてみたり、情報と人脈を作っていくこと、Paid mediaの人をどう取り込んでいくかが広報には大切です。いろいろな方法があると思うのでぜひ自分なりのアプローチを見つけてほしいですね」

引き続いてファンワークスのメディア活動事例を広く解説いただいた後、「じゃあ実際絵をかくクリエイターが、どうやって優秀なアニメーターと知り合えばいいのか?」
参加者よりそんな単刀直入な質問を受け、高山氏はにこやかに答える。

「ただひたすら探して、アプローチしてください(笑)いや、でもそれが一番の近道なんですよ。私のようなプロデューサー業の人間は絵を描くことはできない。 それにくらべるとクリエイターさんは自分の作品がある分、「人と会う理由が作りやすい」と思います。自分がこの人好きだな、って思ったらまずは臆せずにアプローチするという癖をつける。どんな大物の人でもやってくれるかどうかはさておき、意外と会ってくれるもんです。成功している人ほどそういう外の刺激に対してみんな敏感だし、積極的です。本人は無理でも弟子は紹介してくれるかもしれない。弟子が無理でも仲間を紹介してくれるかもしれない。そういうことで人脈を広げていっていってほしいですね。ポートフォリオも「ただ見せる」はもう卒業です。自分のクリエイションはまず置いておいて、相手がどうすれば喜ぶのか、相手の現状やマーケティングをしっかり調べた上で「自分はあなたのためにこんなことをできますよ」という提案性をもったアプローチをすることが大切です。そういう積み重ねにどんどん前向きにチャレンジして新しい人たちと会って科学反応を生むということに、もっと積極的になってみてください」

「アグレッシブ烈子」
twitter(@retsuko_anime)

サンリオの新しいキャラクター「アグレッシブ烈子」。「サンリオらしからぬ」はっちゃけたキャラクターで毎週約1分のショートアニメをTBS「王様のブランチ」番組内で放送。OLを中心に人気を集めている。

「こういうことならあの人だ!」が常に頭に思い浮かぶよう心がけています、と高山氏。そういえばセミナー開始前にお話させていただいたのは「巣鴨の安くて旨い焼き鳥屋」の話だった。
コミュ二ケーションの引き出しの多さとわずか1分で相手の記憶に残る人柄、セルフプロデュースとはそういうことだと身をもって体感した貴重なセミナーであった。

くすきはいね
コトバ&グラフィックデザイナー・アートディレクター。
広告制作、リーフレットや名刺、HPのデザイン・制作までお仕事承ります。
文房具カフェ」プロデュースも。
食べること、飲むこと、笑うこと。ワインだいすき。コスメだいすき。